5月から弊社お客様の
住宅沈下修正工事が始まりました
秋までに土台上げ3件、耐圧版工法1件
合計4件の沈下修正工事を行う予定です
曳家さんと話しを重ねる中で
住宅の沈下修正工法の選定基準について
私なりに理解したことをお伝えします
結論は
「ケースバイケースで判断」
なのですが、その中でも
どこを重視するかで判断が分かれます
●工法と費用(単位:万円)
- 土台上げ工法 1階床撤去
曳家50~100+付帯工事250~400+仮住まい - 土台上げ工法 居住のまま
曳家300~500+付帯工事150~250 - 耐圧版工法
耐圧版500~700+付帯工事150~250 - 薬液注入工法
(費用不明) - 薬液注入工法+耐圧版
(費用不明・耐圧版以上) - アンダーピニング工法
アンダーピニング1,000~+付帯工事150~250
※35坪~45坪の総2階を想定
1階部分の面積や沈下量により費用は変わります
※付帯工事は沈下修正工事のための事前準備や
事後の修繕・復旧工事です
●条件や確認事項
- 予算
地盤保証や地震保険、行政の支援の有無、自己資金 - 構造
土台上のアンカーボルトを緩められる
→土台上げ
ホールダウン金物の数が多い・金物工法
→耐圧版工法など基礎下から上げる工法
→土台上げの場合 基礎欠損が大きくなる - 建物周辺状況
建物に駐車場やポーチのコンクリートが
くっついている
→土間コンを壊さない土台上げが費用面で有利 - 求める安心感(沈下保証等)
→耐圧版・アンダーピニング工法 - 家族構成や年齢、あと何年その家を持たせたいか
→そもそも沈下修正工事をする・しない
●どの工法を選ぶか
工法の中でアンダーピニング工法が一番良い
と思われるかもしれませんが
そうではありません
いずれの工法も長所短所があります
私の優先順位は以下の通りです
-
土台上工法・居住のまま
-
金物工法かホールダウン金物が多い場合は耐圧版
予算が厳しければ1.土台上・居住のまま
-
その他は予算があれば検討
●なぜ土台上げ工法(居住のまま)か
詳しくは曳家岡本さんのブログや
YouTubeをご覧いただきたいのですが
曳家岡本さんの丁寧な作業を
判断基準の前提とすると
住みながら土台上げ作業していただけるのは
お客様の物理的・心理的負担のいずれも
かなり軽減され、本当にありがたいです
お客様が仮住まいに引っ越ししていただくと
作業は楽かもしれませんが
仮住まい費用を含めて試算すると
かなりの費用アップになりそうです
そうなれば耐圧版工法など
別の工法も候補に挙がってきます
工法選定の際は総合的に判断が必要で
建築士など知識を持った専門家が間に立ち
お客様の負担が少なくなるよう
アドバイスしなければならないと
今回の震災を通して学びました
沈下修正業者に丸投げせず
事前に建物の沈下レベルを測定し
事前作業や事後修繕まで想像しながら
お客様に代わって交渉できる知識が必要です
●アンダーピニング工法が一番ではない理由
アンダーピニングは基礎下に
長さ500mm・Φ110mmほどの鋼管を
ジャッキで押し沈めて繋いでいく工法です
地盤の支持層まで届くという触れ込みを
耳にしますが
あくまで建物の自重で押し沈める
ので 支持層に届かない場合があります
つまり再沈下の可能性もありますので
このリスクを覚悟して
費用をかけてまで採用するかどうか
判断が難しい工法です
10年の沈下保証を受けられる場合が
ありますので、併せて判断します
長くなりましたので
ひとまず ここまで